電子負荷装置

余剰部品のリサイクル

完成図(クリックすると大きくなります)
メーターのオリジナル文字版

色々な実験の中で、この電源、無事動いてるようにみえるけど、負荷が変ったときどんな動作するの?と心配になることがある。ねーか..。じゃ、こーゆーのはどーだ。回りの知り合い、みんなが、なんとなく持ってる「電子負荷装置」。どこか「放射能除去装置」にも似た甘美な響きを持ったこのメカ。君も欲しくないか?「ほしー!」

というわけで、chuckさんにご紹介いただいた「簡易電子負荷の製作」のページ(トップページはこちら)を参考に勉強してみる。
こちらのページのオーナーさん、余剰部品のリサイクルも手がけてらしてちょうど、リストの中にこの回路に使えるP-MOSFETがあったりするので、ちょっとおねだりして、やってみようかな、と。
そんな美味しい話は、オッショさんに内緒にしておく手はないぞとお誘いして部品を分けていただくことにした。

(オリジナルの記事は、2006年の秋も押し詰まった10月末ごろに、毎度お世話になっている「アナログ震世界」の掲示板に投稿したものです。これに加筆/修整しました)

道を踏み外す

中身
中身は、すかすかのシンプル(クリックで拡大)

早速、JA9CDEさんご本人からメールいただいて、被検査電源が3V以下だと動かないよ、と知らされ、たまたま、テストしてみたいトランスが0V-3V-6V/300mA だったこともあって、回路に電源を追加しよう、どうせ電源入れるのなら、シンセのVCOのアンチログ回路の部分の定電流回路そのままじゃないか、ということで図面起こしてみたのが間違いの始まり。

R7,8,9,10は、メインの12Ωにばっちり流れて他の抵抗にはあまり流れないように(トリムの調整、特にミスった時に燃えないように)ヘンなことした。抵抗がいくつか並列になってトータルで10Ωぐらいになるよにしてある。(12Ω//60Ω=10Ω)
これを1Ωとスイッチして、0A〜3Aまで、10Ωなら、0A〜300mAまでって感じ。片側だけ可変できるようにして相対的なズレを取っておいて、トータルのトリマーのR5で全体のスケールを合わせると言う方式。

この抵抗がそのままMOS-FETに流れる電流を制限する形なので、ここに現れる電位差をオペアンプで比べれば、負帰還の掛かったオペアンプから、+/-端子が一致するような電圧が出る。FETが自分の熱で流れる電流が変わっても、流れる電流で発生する電圧をみてるのだから、自動でサーボ掛けるという仕掛けのつもり。
オペアンプには、片電源で、さらにレールツーレールのものを選べば、0Vから使える。三端子レギュレーターで作るとして5V単電源なら、R1(3.3k)とR4(5k)で分圧すると、オペアンプの+端子の最大電位は3V。
というか、ココに入れる電位で負荷をきめられるVoltage Contoroled Power Load。外部からCVを与えて負荷を決められるのだから、先日組み立てた、基準電圧発生器を使えるようにしない手はない。
外部入力を許容するようにするなら、ミスって、-電位を入れちゃう事もあるかもで、その対策を考えなきゃということで、FETのゲートがマイナス方向に振れても大丈夫なように保護のダイオードを追加。このダイオードが動いたとき、オペアンプの出力がグランドにショートしないようにR2を追加。余ったオペアンプは、Vフォロにして、メーターのフォローにまわるという感じ。
今にしてもう1度考えれば、オペアンプに、メカ全体に掛かってる電圧より低い電圧が入った段階でアウト。保護なら、オペアンプの入力につけなきゃいけなかった。というか、ミスはこんなところではない。

改めて、はじめまして、MOS-FET

ID-Vgsのグラフ(2SJ380)
2SJ380のID-VGSのグラフ

MOS-FET(というか、FET全般だけど)あまり使い慣れてなくて、実はどんな動作をするのか、よくわかってなかったりして。トランジスタと違って、ベース(というかゲート)には電圧の変化が必要でほとんど電流はながれないということで、真空管のグリッドみたいなものだろうと。思っていたのだけど、真空管と違って、ゲートは+/-20VまでOK(対ソース電位)らしい。あれ?あれ!とか言いながら、基本に立ち返るべく、適当なFET、

の仕様書をみなおしてみる。3ページ目、左の上から2つ目。ID-VGSのグラフ。
ゲートから見て、ソースの電位が-1.5Vぐらいのとき、(ソースの電位のほうがゲートより高い)ドレインに流れる電流は0A。ホボ無限大の抵抗になる、ってことよね。ソースの電位が10Vとすると、ゲートには、8.5V掛かってないと、0Aにならない。
電源が5Vのオペアンプでゲートを操作しようと思ったら、オペアンプの出力は5V以上は出ない、レールツーレールで0Vは有りでも5Vはむり。4.5Vとかだとすると、これに、ターゲットのソース電位の1.5V足して、6V。0Aにするには、2.5V足りない。
実際別の簡単な回路で試してみたら、ゲートの電位が足りなくて、FETを抵抗としてみなせなくなって素のままショートも同然状態、かろうじてドレインにぶら下がってる10Ωで、制限が掛かる状態。電流をちゃんと供給できる電源を繋げてれば、萌えー(って字が違うから、って笑えない状態)。この石定格の-12AまでならOK、って感じってゆーか、OKじゃねーから...。 なんにせよ、この図面じゃ、思った動作をしなさそうです。要するに、僕が書いた図面は、N-MOS用の回路で、P-MOSではダメ。JA9CDEさんからメールいただいて気が付いた。組み立てる前(壊す前か)でよかったー。

オリジナルの回路は変動する前提の入力電圧を基準にゲートへと電位差を送るという、実に良く考えられた(というか僕が何も考えてなかったんですが)方式。 操作中に設定ミスったときもチェック用の電源のヘタリでコントロールの電圧もヘタっていいところで安定を得る可能性もあって、見れば見るほど、なるほどっちゅう感じっす。p-タイプのFETを使うのはパッシブ(?)式の最大の利点な気がする。
せっかくレールツーレールのオペアンプ手に入れたので使ってみたいー!!手段のためには目的を選ばない!とか、某氏のスローガンを叫びながら、妙な高揚感と共に、いろいろ考えたんだけど、オリジナルのエレガントさには勝てない気がしてくる。
というか、このプロジェクト用に新調したOPアンプ、別ブロジェクトの実験に迂闊な使い方して壊したこともあって、欲張らずにオリジナル通り、パッシブ式で組み立てようかという気に...。

部品

メーターのオリジナル文字版
メーターのオリジナル文字版
メーターたのしーよね、Candy for eyes というか。15Vの実験電源を作るのに、あったらいいかもと昔手に入れたやつ。知り合いと一緒に秋葉原に行ったとき、「エスカッションとか自前で作り直したらかっこいいかもねえ」、とか言いつつ一緒に買ったもの。
このプロジェクト用に新たにもう1つ買おうと思ったら最少レンジは15Vからなんだそうだ。とりあえず、手元の20Vのメーターふた開けてみたら、中に20kが直列に入ってる。これを外してケース内は直結。外に2.7kと500オームでトリムできるようにして3Vのメーターに改造。文字盤も3V用のものを新たに作って貼り付けた。
5Vのメーターにしたければ5k、20Vなら、20k。多分、トリミングは必要。あまり小さな電圧は、入力インピーダンスが下がりすぎて、計測対象に影響しそう。
なんか、工作の最後のほうになってメーターの蓋が取れてるのに気がつかなくて、逆さに置いちゃって、針がグニっと曲げちゃって終わりな気がする。きーつけなくちゃ。

中身
巨大なセメント抵抗

手に入れた1オーム10W、実測したら1.2オームだったので、1/10レンジ用の10オームも12オーム5W(こっちは実測12.3オーム)。にした。メーターのトリムでそれっぽい値が出るようにしちゃおうかなと。
最近秋月で扱い始めてる、交換不要のフューズとして、ポリスイッチという製品が出てる。ためしに使ってみようということで5Aで切れるやつをいれてみた。

ケースはタカチのYM-150。直前まで、JEMTEC#3シリーズで考えてた。 本来は、実験電源、発振器、負荷装置と同じケースに詰めて机の上に積み上げると、まるで、ゲッターロボみたいでかっこいいじゃないかとか思ってたんだけど。 いつも買う千石電商でJEMTEC#3、それまで500円だったのに、先日チェックいれたら650円。だったら、別のケースも選択肢に入れてもいいじゃん、と、急遽変更。
なにやら、中国の急激な産業発展のおかげで金属全般の値段が高騰してるんだそうで、小さなメーカーが一番最初にアオリを食って値上げせざるお得ない状況らしい。ハンダも結構値上がりしてる。10年以上前にバーゲンで安く手に入れた1kのハンダが底を尽きそうな状況にあまり良いニュースじゃないな。

一応、後日の拡張を考えて、100Vのコネクタ(イマのところ)意味無くつけてある。
放熱板は、ギターアンプのアッテネーター作ろうと手に入れたのに放置されてたやつを再利用、タップを切って、スタッドをつけてケース本体から浮かえてあり、ケースと放熱器の間に、石が間にこっそり隠れる感じ。

画龍点睛を欠く

結局、JA9CDEさんのフルコピーした。なによりエレガントさは大事。
あとは、おねだりしたP-MOS-FETが届くのを待ってる状態。目玉を入れたら、あっという間に飛ぶよ、って、飛ぶ方向が違うから!!
いや、冗談はともかく、頂いたFETで無事に動かして、いろいろな実験に活用させて頂いている。(ありがとうございました>JA9CDEさん)

なんか、電子負荷ってさ、ある程度経験をつんだエンジニアが鍋をおいしく食った後、お出汁タップりのスープで作るおじやみたいもの、って気がする。 年季の入ったエンジニアが、自分の部品箱をぐるぐるっとかき回すと自然にできるというか。(んーなわきゃねーか)こんなもん、気合入れてケース加工して綺麗に組み立てて喜んでるようーじゃ、まだまだかなーとか。とかいいつつ、きれいにケース加工できるとやっぱうれしー!

電子負荷装置、Web上でもいろいろ紹介されている。たとえば、

このページで紹介されてる「作りながら学ぶエレクトロニクス測定器」(CQ出版)は、この1年ぐらい僕の睡眠薬代わりになっていて、寝る前に必ず見るようにしてる。難しくて10分で眠くなる部分が多いのだけど、ワクワクして眠れなくなる部分もあるので要注意。
先日半年かけて仕上げたオシレーターはこの本の記事。ケースの工作の手順とかも丁寧に解説されていて、いい本だと思う。加筆/訂正された版で再販になるといいなと思うので、あえて絶版でも紹介!
せっかく組み立てたので,このまま使うけど、後日、使い方ミスって、FET飛ばしたらN-MOS-FETを手に入れて(電源コネクタもつけてあるし)この記事を参考にアップグレードしようと思っている。それまで飛ばさずに上手に使うテクを身に付けなきゃだわ。