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簡易電源設計法

電源なんぞ、シンセの回路の中では最も手を抜いて良さそうな所な気がしていて、何を隠そう 始めて1年間の間、電源は市販のスイッチング電源を使っていた。アナログ回路には、シリーズレギュレーター式の物を使うべしと、いろいろな人に言われて来たのだけど、なんか、手を抜いて来たので、とりあえず、試しに作ってみるべく、色々資料を漁ってみた。

電源部分は大きく分けて、電源トランス、整流部分、平滑部分、レギュレーター部分に別れる。トランスは、どんな物を買うかの選定。整流はダイオードを使い、平滑部分は、コンデンサを一発。レギュレーター部分にはいくつかの方式があるが、ここでは3端子レギュレーターを使ったシリーズレギュレーターという方式の物を作ってみる。

オリジナルは「なんちゃって電源設計法」というタイトルで2003年に公開したものなのだけど、加筆修整の上、再公開します。(OCT/2006)

AC/DC

AC Waves
いとしのサイン波!

ロケンローが欲しかったら、トップまでの道のりは長いらしいけど、電源への道は、そんなに遠くない。要するに、電源回路とは、商用100VのACを、電子回路で使いやすい、DCに変換する回路のこと。
ただ、扱う商用電源100V、ちょっとHigh Voltageとなると、注意が必要。おさらいをしよう。

この図は、100VのコンセントのAC。0Vを中心に周期的に変化して、関東では50Hz、関西では60Hz。
たとえば、乾電池に代表されるDCには周期的な変化が無いので、テスターで普通に測れば、1.5Vと出る。仮に、AC電源ををわざと、DCとして測ろうとすると、周期的に変化するのだから一定の値が出ない。じゃ、ACの電圧はなにが100Vなわけ?
AC Waves
やっほーかまぼこ!


一般にコンセントの100Vは0Vを中心に、一番高いところから一番低いところまでで、280Vの電位差がある(ピークツーピークといわれて、280Vppと表記されることもある)
とりあえず、0Vよりしたの部分を折り曲げて全部+側に集める。かまぼこを並べた状態。ピークを全部上に集めてしまったので、周波数は倍の120/100Hzに増える。たとえば、サイン波じゃなくて、3角波だったらどうだろう。頂点までの高さの半分で分けて、とがった部分を谷の部分に合わせると、ちょうど、平らにならないだろうか。(いや、なるんです)

AC Waves
ならして平均する!
ただ、我らが愛しの正弦波は、柔らかいふくらみがあるので、半分で割って、上のダイダイ色の部分を緑の部分に合わせようとするとはみ出しちゃう。大体、曲線同士だからぴったり合わない。ムリムリっとむりやり合わせると、真ん中より上ぐらいのところがいいポイントになる。数学の難しい公式を展開して正確に計算すると、1/1.414の線が、狙いのポイント。。(正確には、1.414はルート2)ここがちょうど100Vになるのだ。
出力に10Vと表記されたトランスは、「ACとして10Vでますよ」、ということなので、整流して片側だけに集めた場合1.4倍の14Vが出てくる。
逆にいうと、ACはDCに比べて、ピークでは1.4倍の電圧が出てるのだから、電流が少なくても同じ仕事ができる。(仕事とは、電流と電圧をかけた数字で表現されるワット数のこと)言い換えれば、DCに変換してしまうと、トランスの(AC表示の)額面の電流量は取れなくなるということだ。(さらに詳細は、電源トランスの電流を参照のこと)

シリーズレギュレーターの動作原理

さて、狙いのシリーズレギュレーターとはどんなものかというと、そんなに安定してない高めの電圧を用意しておいてここから、不安定な部分を切り抜いて、安定した電圧を取り出す方式。というわけで、トランスは、求める電圧より高めの電圧が出る物で無ければいけない。
電源回路に使うトランスは、それ以降に繋がる、

が、その動作に必要とする電圧の合計と、求める出力電圧を足したもの以上の電圧がなければ、いけないわけだ。余った分は、アユミの箱に入れるわけではなく、空気中に熱として、ただ捨てる方式。なんだか勿体無いけど。

整流のために、シリコンダイオードを1本通すごとにと、約0.6Vの電圧降下が起きる。使うダイオードの種類や、流す電流で変化するので、仕様書で正確な数字を確認しなきゃいけないけど、とりあえず、ここでは、1本当たり、0.6Vとする。ダイオードの電圧降下分は、採用する回路形式によっては2本分になることもある。(詳細は、電源トランスの種類と回路形式参照の事)さらに、一般に3端子レギュレーターは入力と出力の電位差が3Vほど必要。これも使う三端子レギュレーターの仕様書で確認する。3Vから、2Vぐらいの幅が有る。 ここまでは、消費電流の変化で大きくは変化しない部分。設計時に、どれだけ電流を引っ張るかで決めておけば問題は少ない。問題は、平滑回路だ。
実は、平滑回路の動作には、電圧が必要なのではなく、平滑し切れない電圧をどこまで許容するかという数字だ。

リップルの許容量

まず、ダイオードブリッジなどで全波整流したサイン波は、0Vから、トランスの出力電位までの津波のような状態になっている。ここに、コンデンサを並列に入れて、山のピークまで、それを充電し、谷の時は今充電したばかりの電気を放電することで、滑らかさを保とうというのが、平滑回路の動作。完全な平滑回路って、実は結構難しくて、ほとんどの場合、平滑しても波形は波打っている。この波をリップル(さざ波)という。

about ripples
リップルのある電源
図のブルーが全波整流したAC。ピンクの部分が平滑コンデンサにたまった電気が徐々に流れ出してできるスロープ。この合成が、さざ波と言うわけ。
コンデンサから電気が失われるスピード、Volt/Secは、I/C で計算する事ができる。Iは取り出したい電流で、Cはコンデンサの容量。2200μFのコンデンサで、0.5A取り出したいのなら、

詳細はPower Supply Tips 参照のこと。 腹いっぱいの2200μFコンデンサに、0.5A流れるような抵抗をつけてショートすると1秒間に227V下がるカーブを描くわけだ。実際は、0Vよりは下がらない。あっという間に放電しちゃう。この放電スピードが早ければ(一定時間に下がる電圧が大きければ)さざ波の揺れ幅がでかくなるわけだ。
(腹いっぱいのコンデンサの放電すると多くの場合、バチっという音と火花がでて、コンデンサの足がこげる。場合によってはコンデンサの寿命を著しく下げるので、迂闊に実験しないよにする)。
取り出したい電流が増えると、上記の式の分母がでかくなるので、リップルのサイズは大きくなり、逆に電流を取らなければリップルの電位差が小さくなって、スムーズな電源になる。または、平滑コンデンサの容量をでかくしても、リップルはちいさくすることができる。
図のCycleは、商用電源の周波数。AC/DCで見たとおり、日本では、60Hzか、50Hz。それぞれ、全波整流しただけの津波状態で、1秒間に120か、100のピークがある。時間に直せば、8.3mSec(1000mSec/120)か、10mSec(1000mSec/100)。さっきの例なら、1秒で227V下がるのだから、1ピークごとなら、1.8V(227V*0.0083)、2.2V(227*0.01)下がる事になる。
取り出す、電流によって、リップルのサイズは変わる。どこまで変わってもOKか、という変化の許容量をきめるのが、平滑回路の設計の肝。
一般に1A毎に、4700μFなら、リップルは2V弱程度有ると思って良さそうだ。比例式なので、出力に半分の500mA取るつもりならなら、2200μF、さらにまたその半分の250mAなら、1000μFぐらいあれば、リップルは2V程度に収まるという計算
これは、もうこれ以上取れませんの状態の計算で、実際はもっと余裕を持った使い方がいいのだけど、最低の基準をドコに、どう置くか、という設定。

トランスの選定

何Vのトランスを手に入れればいいのかだけど、冒頭に書いた通り、余った電圧は熱にして捨てる方式なのでぎりぎりのところにもっていくのが美味しい。
たとえば、15Vの出力を得たいのなら、

出力 15V
整流ダイオードの電圧降下 0.6V
レギュレーターの電圧降下 3V
リップル許容量 2V
合計20.6V 

整流した後のピークでこれだけの電位が必要。ACをDC化するのだから、1.414(ルート2)で割れば、ACの額面の電圧が求められるのだけど、実際には、さらに、このトランスに突っ込むつもりの商用100Vには±10%グライ(90V〜110V)のずれが有る前提で、90%しか出なかった時のために、1割り増しにする。

この場合なら、額面16Vと表記されてるセンタータップ付きのトランス、または、0V-16V-32Vのタップがが出ているトランスの16Vをセンタータップに使う方式なら、狙いどおりの設計の電圧が取れそうだ。
1次側(100V)が1割引になれば2次側も1割引になるので、もし、1次側に90Vの入力があれば、ここに100Vを繋ぐと、(比較的良く見かける)18Vの出力がちょうど16Vぐらいになる。
平滑に使うコンデンサの耐圧は、トランスの額面の値に1.414をかけた数字以上でないとまずい。

3端子レギュレーターの動作に必要な電位差は製品によって違うし、自宅のみで使う前提で、実測でちゃんと100Vでてるから、商用100Vの変動マージンとしての1割り増しはいらないとか、ちびっとしか電流引かないから、リップル1Vまで落せるとか、さらに、 実は、トランスに、表記されている電圧は、同時に表記されている電流を取った時にその電圧になりますよ、という数字なので、トランスに表示されている電流にくらべて、小さい電流しかを使わないつもだと、実は(特に、安価なトランスや、出力電圧が低いものは)出力は若干高めだったりするので、15Vの電源を15V表示のトランスで賄えたりもする。
各自再設計できるのが自作の楽しいところ。
トランスを買う時には、ダイオードブリッジを使う前提で、センタータップが出ているものか、2倍の電圧に半分の電圧の端子も出てる物で(32Vのトランスで、16Vの端子付などのパターン)まん中の電位の端子をセンタータップ代わりに使うことができる。
もちろん、2次側(100Vじゃないほう)に巻き線が2セット巻いてあって、独立に2電源取れるタイプの場合もセンタータップ式にして使うことができる。

電源トランスの電流

さて、トランスの電圧は決まった。じゃ、トランスの持ってるもう1つのパラメーター、電流はどうするのか。

トランスから取り出せる電流は、2次側の巻き線に太いものを使ったほうがたくさん電流が取れるが、当然、でかくて重いものになる。サイズが同じなら、15Vより、12Vのトランスのほうがたくさん電流が取れる。
普通は、1次側(多くの場合入力)が100Vで、出力に、○○V○○Aという表示になっていることが多い。
トランスに30V、0.5Aと書いてあると、これは交流でこれだけ取れますよ、ということ。多くの場合はこれを整流して直流にしちゃうので、電圧は、ルート2倍、電流は額面表示のルート2分の1。
コンデンサで平滑する回路の場合、トランスから取りだせる電流を一度コンデンサに溜めて、このコンデンサから、電流を引っ張り出す形で、実は、トランスは、コンデンサを充電しまくるだけ。
入力される電流はカマボコ形で、取り出す電流はリップルの少ないDCを期待してて、入力と出力がちがうのだから、充電電流は出力電流と等しくならない。負荷や整流形態によってかわるけど、平均充電電流には0.7〜3倍の係数がかかる。
バランスを欠いた定数で無ければ、最悪で1.4倍程度のロスが発生する。とりあえず、1.3倍ということにすれば、1AのDCを出すにはDC->AC変換係数のルート2と合わせて

のACが必要になる。逆に、ACで1Aと表示されてるトランスからは しかとれない。
これは、パラメーターによって変動する値で1.4は最悪値なので、一般にはトランスからとれるDCの電流は、ACの額面表示の6割(係数は1.27)と覚えておくと便利かも知れない。

電圧は制限して使うけど、電流は接続した回路が必要とするだけガンガン引張る。取りすぎて、そのトランスが供給できる電流量を超えると、トランスの電圧降下が始まる。逆にいうと、その電流を取ると、その電圧になりますよ、というのが、メーカーがつけたトランスの額面の数字と思っていい。電流をどんどん引張ると、出力電圧はどんどん下がる。
電流を取りすぎて、電圧降下が始まって、電圧を制限するのに必要なオーバーヘッドがなくなると、リップルがノイズとして出てくる。電源が綺麗なDCじゃなくなっちゃう瞬間。電源に由来する「ブーン」というノイズの正体は多くの場合、このリップル。
実は、額面の数字をばっちり取ると、トランスはかなり熱くなる。トランスの中に染み込ませてあるいろんなものが融け始めたり、火がつく寸前だけど、トランスとしてはこわれませんーみたいな温度。迂闊に触ったらやけどするかもしれない。
100円程度で買える3端子レギュレーターは結構タフ。ちゃんと放熱器をつければ、それなりに熱くはなるけど、(もちろんモノによるけど)1000円以上するトランスがギリギリでヒーヒー言ってる時でも、壊れずにちゃんと500mAとか出せる。
とりあえず、トランスはそれなりに熱くなるのが普通と考えて、それなりに対策を考えたケースを使うとか考えたほうがいい。
ある程度電子工作に慣れてきても、電源回路が難しいのは、実は「100Vを扱うから」よりも、この発熱に「どう対処するのか」が難しいから。アマチュアとしては、1Aのトランスからは、600mAしか引けない。しかもそんなに引いたら熱が大変なことになるから300mAまでしか引かないようにするとか、400mAまでいけるかな、とか。
とにかく、トランスの発熱が始まるような電流は引かない!という消極的な対処でクリアするのが無難な点。

トランスによっては、VAという表示を見ることがある。電流と電圧をかけた数値のこと。20VAというトランスは、全体でそれだけの電力を扱えますよ、という表記。入力した物がそのまま出せるはず(効率はあるけど)なので、1次、2次側も100Vなら、そのまま出力は200mA。2次側が10Vなら、2Aだせる。

電源トランスの種類と回路形式

基本形

電源回路に使う整流回路には、全波整流回路の他に半波整流回路があるのだけど、リップルが酷くなるので、電源回路にはここで紹介する全波整流回路がお勧め。
これは、巻き線が1本でセンタータップが無いトランスで、全波整流する回路形式。RLという抵抗は実際は抵抗ではなくてこの電源回路に接続されるターゲットの回路を象徴している。Rは抵抗、LはLoad(負荷)の意味。

必ず2本ダイオードを通る

図面には、ダイオードが4本見えるので、おやっと思うかもしれないけど、ACの信号が、プラスのときには、ここをこー通って...マイナスのときは..と指で追ってみると分かるけど、常に、ダイオードはプラス側とグランド側と各々1本ずつ、合計2本通っている。この回路の場合には整流に使うダイオードの降下分は2本分取らなきゃいけない。

基本形その2

センタータップが出ているトランス、たとえば、12V-300mA-12Vとかいう表示で足が3本だったり、12V-0V-12Vという表示で別にアンペア数が表示されていたりする。
センタータップ(CT)を0Vとすると、同時期には位相が逆になったACが出てくる。図面の上のピンに+の電圧が出てる時に、したのピンにはーが出ている。

同時に通るダイオードは1本だけ

この場合はダイオードが2本で全波整流する事が出来、さらに、一度にダイオードは1本しか通らないのでロスも少ない。
このほか、0V-12V-24Vとか、0V-16V-32Vと言う表示のタップが出ている場合、12Vや、16Vがちょうど全体の半分のポイントなのでこのタップをセンタータップ代わりに使う事もできる。

基本形その3

センタータップの出たトランスを使って、同時にプラスマイナスの電源を取るパターン。 15V-CT-15V 1Aという表示なら、上下に問題なく1Aの6掛けは取れる。
0V-15V-30V 1Aというの表示のトランスなら、電流は30Vで600mA(「なんちゃってAC-DC変換」の6掛けで600mA)とみると、30V X 0.6A = 18W までOKというように考えれば、上下半分づつ、15V X 0.6 =9W が2つで18Wと考えられて、上下共に0.6A取れる。
type2のバリエーションなので、ダイオードの降下分は1本で計算する。容量は上下に分けてしまうので、Type2でとれる容量の半分になる。

基本形その4

2次側に巻き線が2本あるトランスは、隣り合った端子を接続してセンタータップにして(逆さに繋いでセンタータップとすると、位相がかち合ってしまい、出力が出ない)Type3と同様の接続をする。

整流ダイオード

整流ダイオードの電圧の耐圧の考え方は、このダイオードに掛かる最大の電位差より大きいこと。
一番最初に紹介した通り、トランスに表示されている電圧のルート2倍がピーク。交流だから、このピークがマイナス側にも出ており、平滑コンデンサがプラス側にルート2倍程度の電位をキープしているところに、ダイオードの反対側は、マイナス側にルート2倍の電圧が振れてるので、ダイオードにはルート2の(プラスマイナスで)2倍のピークの電位差が掛かる。このことから、耐圧はトランスの額面電圧のルート2の2倍(約3倍)以上の耐圧が必要。

一方電流の方を考えると、平滑のコンデンサが空の場合、この充電が完了するまで、コンデンサは、トランスから凄い勢いで電気を吸い取る。これが、電源投入時のピーク電流となる。トランスから見れば、ショートに近い状態。凄い勢いでトランスからコンデンサへ電流がながれる。その間に挟まってるのがダイオード。接続されているコンデンサがでかければ、より沢山の電流が一時に流れる事になる。電源として供給するつもり電流の、1.4〜14倍を見積もらなければいけないのだそうだけど、普通の定数設定なら、4倍にしておけば、だいじょうぶらしい。(前の版では2倍としていたけど、それでは足りない。)
リップルを外したくて、大きすぎるコンデンサをつけると、このダイオードの耐圧を心配しなければいけなくなる。

レギュレーター部分

タブがメタル出ないものをフルモールド
タイプという。
3端子レギュレーターにもいくつか種類があり、ポピュラーなのは、 というシリーズで、XXはメーカーのプリフィックス、78が正電源、79が負電源用のもの。yは出力電流を示し、Lは100mA、Mが500mA、無しは、1A。zzはそのまま出力電圧を表示している。取り出す電流が定格の4割をこえるのなら、放熱版が無いと壊れる可能性があると思っていい。とりあえず、Mと、(無し)は、殆ど値段が変わらない癖にサイズはいっしょなので、とりあえず、40mAを超える可能性があるのなら、なんでもかんでも1Aタイプを付けて小さな放熱板を抱かせておけば、問題ないはず。

チップのメーカーや、製造時期によっては(というか、改良版のマークAがついたりするはずだけど)ネジ止めするタブの部分がメタルになって入る製品が有り、これは、半導体の一番電位の低い部分が接続されているので、負電源のチップは、この放熱版がケース等トショートしない様に設置する。


制作1

追試されるならパターン2がお勧め
実際の組み立ては、「アナログ震世界」掲示板でお世話になっているS.T.氏が発表された回路図を利用させていただいた。
NECの製品情報ページの 3端子レギュレーターのFAQのページを参考にしてある程度基本に忠実に作られたそうだ。
この他、 JRC (新日本無線株式会社)の 半導体データブックの中の、 汎用リニア IC(オペアンプ/コンパレータ/電源)の中の 三端子レギュレータについて も内容の濃い参考書になる。(他にも美味しそうな資料が山盛りなのであえてURLは詳細に盛った)

僕は、リップルを2Vぐらいのつもり、最大とっても500mA(ドーファーのA100シリーズの2階建てのラックの電源で600mAだそうだ)として、平滑用コンデンサには2200μFとした。

参考基板パターン(PDF版)はこちら。

ケースのサイズが許す限りでかいケミコンでリップル率を下げるという方針はアリかも知れないが、いつまでも電気が残っている。あまり電流を食わない回路しかつなげていない場合、電源を切ってもいつまでも動いてたりする。また、巨大なコンデンサは、電源投入時にトランスから、ダイオード越しに巨大なコンデンサに電気を瞬間にためようと凶悪に電流が流れて整流用のダイオードの耐圧を超える可能性があることも考慮しなきゃいけない。

ACの入力のコネクタには、間違ってとんでもないものを差さないように、いつも使っているヒロセ電機のコネクタとは違うモノを使った。(最初の版は同じ物にしたんだけど、出来上がったその日の内に、間違ってテストしていたVCOに交流を突っ込んでしまった。壊れなかったのが不思議)
基板パターンは3.96mmピッチの4ピンにした。日本圧着端子製造株式会社(通商、日圧)の圧着ロック付小型タイプ、VH シリーズを想定した。千石通商で購入できる。AC周りはコネクタを使ったり、熱収縮チューブを積極的に使って、うかつにショートしないようにしたほうが安心な気がする。
それぞれヒートシンクの真下のポチは、3mmの穴をあけて上のヒートシンクをねじ止めするための穴のつもり。千石通商の安価なヒートシンクを想定している。ブリッジダイオードには昔からあるW02とかのシリーズではなく、変形DIPのモノを使ってみた。

無負荷状態で実測すると、プラス側もマイナス側も想定値より、100分の数Vのずれがあり、相対的にも同じ電位差にはなってない。実はちょっと心配してたのだけど、チューニングの必要は無いし、実際の演奏には何の支障も無い。


制作2

最初のバージョン
78,79シリーズより、ちょっと良い三端子レギュレーターとして、ナショナルセミコンダクタ社に というものがある。半固定抵抗を外付けして、電圧を細かく調整することができ、国井氏のホームページにこれを使った回路が紹介されている
氏の制作(Powersupplyの部分)では、半固定抵抗での微調整はしないようだ。レギュラーな3端子レギュレーターより、低リップル率を狙ったものとしての制作で、誤差1%の金属皮膜抵抗で制作すれば、100分の数ミリVのずれで収まるそうだ。しかし、相変わらず見事なレイアウト。僕のレギュラー版の基板パターンはこのレイアウトを真似させていただいている。

僕は、これを15V版として製作してみる。上記のサイトからダウンロードしたデータシートに記載されている数式から、それぞれ抵抗の値を求め直してみた。

正電源
LM317T 100円(千石通商 '03/3月調べ)
R2= 2.4k -13.75v
R2= 2.6k -14.79v
R2= 2.64k -15.00v
R2= 2.8k-15.83v
R2= 3.0k-16.88v
2.6k + 200ohmの半固定がベストそうだが、2.6kは買えないので、2.2k + 500ohmの半固定とする。

負電源
LM337T 200円(千石通商 '03/3月調べ)
R2= 1.2k -13.75v
R2= 1.3k -14.79v
R2= 1.32k -15.00v
R2= 1.4k -15.83v
R2= 1.5k -16.88v

1.3k + 100ohmがベストかもしれないが、抵抗の誤差等で調整範囲をずれると恐いので、1.2k + 200ohmという組み合わせにする。

このチップは25℃で、1A取る時入力と出力の電位差は、2Vで済むのだそうで、ダイオードでの電圧降下(0.6V)、リップル(2V)を合わせて、4.6Vなので、額面15Vのトランス(整流時の直流ピークはルート2倍で21V)で行けそうだ。実は、先にトランスは購入済みなので、ちょっと無理矢理。商用電源の誤差の降下分の余裕がない。
実際はワーストケースで、設計しなければいけないそうだ。(いや、当然ですね)。トランスは額面16Vから、18V程度のものを選んだほうが無難。
国井さんの図面を半固定抵抗で電圧を可変できるように書き直した。参考基板パターンはこちら

追試されるならこれがお勧め

データシートでは、正負それぞれ120オーム、240オームが推奨されている。15V前後が出る様にして、半固定抵抗であわせこむ。それぞれ、500オーム、200オームの半固定抵抗と、2.6k、1.2kの組み合わせで15Vを取り出せる。本来はサーメットタイプという半固定抵抗を使うべきだそうだ。チップそのもののばらつき(誤差)があるし。大体その辺でてて、そんなに変動しない、という割り切りも考えられる。半固定抵抗がなくなることで空けることで放熱板とケミコンの距離を稼ぎ、熱で焼かれにくくして、ケミコンの寿命の延命を図る手もある。ケミコンの実装などはニチコンのサイトのこのページが参考になるそうだ。
適当な落としどころを見つけるのも大事。(もともと、最も手を抜いてもよさそうなところだと思ってたくせにー!!)

評価

FARM VCO III をコアに、VCF、VCA、EG、MIDI-CVのミニマムコンフィギュレーション(消費電流はトータルで正負それぞれ72mA、48.5mA)でシーケンサーで楽曲を演奏させたてみた。

リバーブも何もなし。フィルター全開。MP3に変換してしまうと、違いは全然分からないが、変換しなくても分からなかった。違うと言えば違うのだけど、微妙な違いだ。Series Reguratorのトランスに、160mAの物を使ったのだけど、これが足りないのか、音ので初めと終わりの部分で音程が不安定になる気がする。ただ、3端子レギュレーターの放熱板が人肌程度に暖まってくると、この音程の微妙なシフトは感じられなくなる。全体に、Switching Reguratorのほうが、微妙に音程感が揺れている感じ、安定したあとのSeries Reguratorのほうが、重たい感じがする。 ただ、一切のエフェクタ掛けずに使う事は実際には殆どないし、なんらかのエフェクタを掛けてしまうと、もう、聞き分ける事ができなくなる程度の違いだ。音つくりとしてモジュレーションを掛けたら、絶対聞き分けられないと思う。
消費電流が一定で増えないような小さなワンボックスシンセだったら小さなトランスを組み込むのはありだな、と思う一方、大電流(ここでは、0.5A以上)でシリーズレギュレーターにこだわって巨大で重たいトランスをのせるほどのメリットを感じなかった。アマチュア的には、もっと劇的な変化が見られるこだわりポイントを探す方が楽しいと思った。(電源、作らなきゃ音が出ないけど、これが出来れば音が出るかと言えば、うんともすんとも言わないし)

以前、こだわりの親父のやってる秋葉原の真空管のアンプ屋さんで聞いた話だが、昔はともかく、今の商用100Vには物凄いノイズがのってるのだそうで、真空管でアンプを作るのなら、ノロい素子(周波数特性の悪い)として整流管を使わないと意味が無いのだそうだ。ダイオードは性能がよ過ぎて100Vに乗っているノイズが綺麗に乗ってくるのだそうだ。シリーズレギュレーターでもダイオードを使っちゃうと、スイッチングレギュレーターとかわらない状態....なわきゃないんだけど。