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Phase Shifter


フェイズシフターは地味?

ハッキリ言って、フェイズシフターは地味だと思っていた。回路も、同じ物の繰り返し、出てくる音も なんかもわもわ。どうせやるなら、コーラス/フランジャだなと、ずっと思っていた。
ある日、友達が、"やりたい気持ちが爆発した"と、一晩でブレッドボードに組み立てたフェイズシフターの音を送って来たの。これがすごい。ぶっ飛んだ。

これまでのフェイズシフターに対する僕の認識は完全に間違っていた。これの本質は、 位相器と呼ばれる回路で、元の波形と位相のずれた波形をまぜる事で発生するノッチフィルターだ。複数の谷ができる。位相器を重ねなくても、複数のノッチフィルターを直列にして、モジュレーションすれば、フェイズシフターと同様の効果が得られるはずだ。(後日の実験の予定)

例えば、ローパスフィルターは高い周波数を捨ててしまうので出てくる音はマイルドな物になるが、 シンク等の過激な波形を持った音も丸くなってしまう。高域を捨てないようにハイパスフィルタを使うと音が腰抜けになる。
高域をすてずに、音色に癖を持たせて微妙な音作りにフェイズシフターが使えないか、というのが、このプロジェクトの狙いだ。

基本回路


基本回路
これが、位相シフターの基本回路。2倍の非反転アンプと1倍の反転アンプそれぞれ、 LPFとHPFが付いていて、1つのオペアンプの中で各々の出力が合成され、結果的に全周波数域で音量の変化はないものの、DCから無限周波数の間で、CRで定義される中心周波数を中心に0度から180度まで位相が変化する。実は、何となくの理解に留まっており、ブラックボックスとして考えてしまっている。
たとえば、1kを位相シフトの中心点(RCフィルターのカットオフポイントに相当)に設定した位相シフターに1kのサイン波を入れるとこれ、90度位相が遅れた信号が出てくる。 これより周波数低いものが入ると位相の遅れは小さくなる。60度遅れる周波数は、550Hz、30度遅れる周波数は270Hzとなる。 一方、1kより高い周波数は、90度よりも遅れがひどくなる。1.8kでは120度、3.6kでは150度ずれる。
さて、この位相シフターを複数直列にすると、位相の遅れの最大量が増える。4段なら、1段のとき90度遅れてたところは単純に4倍で、360度、45度のところ(550Hzと270Hzの間ぐらい かな)が180度遅れて、135度だったところは、540度。540度は、360度を超えてぐ るっと回って、(単純に360度引いて)180度相当。1.8kHzと、3.6kHzの間ぐらいかな。

ポイントは、遅れた音を元の音と混ぜた時の動作。180度遅れた音はオリジナルの反転だから混ぜると打ち消しあって消え、また、360度は元と同じ音だから、音量が倍になる。4段の場合は、下から「谷山谷」となる。
段数をかさねることで、ぐるっと回って(360度を引いた度数ということね)180度や0度が出てくるたびに山谷がふえる。
マクロメディア・フラッシュでこれをシミュレーションして見た。


手作りフォトカプラー赤1号〜4号


I see a red door and I want it painted black (by Rolling Stones)
Scott氏は、位相器の中心周波数をきめる抵抗にフォトカプラーをダイナミックレジスタとして使いこれをモジュレーションしてるそうだ。何やら彼の所では大変に安価なデバイスなんだそうで、ごっそり手に入れたのか、おっそ分けを頂いたが、2個ではちょっと足りないので取りあえず国産のフォトカプラーをと思ったのだけど、ちょっと探してみたら大変高価、一方、CdSセルは大変安価な事が分かったのでためしにフォトカプラを自作してみた。
秋月電気で3ツで百円の5mmφのものをいくつか買い込み、百円ショップで手に入れたLEDのクリスマスライトをばらして赤いLEDをごっそり手に入れ、熱収縮チューブで連結した。とりあえず、光らせてみたら、赤い光が見えたので黒く塗った。
簡単なV-Iコンバーターをブレッドボードに組んで、リニアリティーのチェックをやってみた。

手作り赤LEDのフォトカプラ生データ
とりあえず、何にも考えずに取りあえずデータだけ取ってグラフ化してみた。微妙らしいことは分かったがこのグラフではなんだか分からないと言うのが本音。
位相シフターの中心周波数の設定は、


で計算されるが、変数のRに注目してこの式を変型して

とすると中心周波数は、抵抗地の逆数に比例する事が分かる。(ドイツ在住のレネさんにメールでおしらせいただきました。ありがとうございます。) 早速Rを逆数にしたものと、LEDに流す電流のグラフに直してみる。

Rの逆数と電流のグラフ
このグラフから、Rの逆数と、位相シフターの中心周波数は大体比例していることが分かる。 一般に、フィルターで音作りする場合、鍵盤からのCVで、音程に合わせてフィルターを開け閉め しないと、音作りが難しい事から、ここにも1V/OCT反応が要求されるので、CVの制御には、アンチログアンプが必要になることが分かる。とはいえ、もとの線がリニアとは言いがたいことから、まじめにやる事もなさそう。アープ式、しかも、マッチしてないNPN−PNPペアのアンチログで十分かなと。
さらに、一般にCdSセルの感度は、によれば、機種によって違うが、500〜600nmが中心とのこと。 赤は650nm以上(赤外線は、1000nm程度)、緑は550nm前後、青は450nm以下なので、赤より緑のほうが感度が高くなり、カーブは緑のほうが傾きはきつくなるとか、なにか、違うがあるかもしれないと思い、緑のLEDでも作ってみた。こっちはペイントせずに、熱収縮チューブ「2枚でドーダ」を試した。

緑のLEDのフォトカプラ、Rの逆数と電流のグラフ
僕が手に入れたCdSセルは、ベースのセラミックが光を通すらしく、光らせてみると、熱収縮チューブから光はもれない(中にも多分光は入って無いはず)が、ケツがポっと光る。ホタルみたいだ。問題なのは、個体間の相対誤差と考え(単純に面倒だったからだけど)、計測は薄暗い中でやっときゃいいか、ノリで適当にやってみた。

赤LEDのフォトカプラのグラフとは、縦軸の値が変っているので要注意、部品ごとの誤差の格差はそんなに広がっってない。赤のLEDのグラフではグラフの曲線に(特に赤のカーブ)ヨレがみえ るが、緑のグラフではない。
赤には、中古のLEDを使ったからで、CDSセルの特性の問題ではなく、光源のほうの問題じゃないかと思う。ダイソーのクリスマスライトのLEDは、メーカーで選別に漏れた安いLEDで組み立ててるんじゃ無いかとか、勝手に想像しているが、数千円のポケットデジタルテスターによるアマチュアの適当な計測の結果の考察なので、絶対だとは言えない。
色の違いによる感度の違いをみるために、赤、緑それぞれのサンプルの抵抗値 の平均したものを縦軸に、制御電流を横軸にそれぞれ、対数目盛りにした。

赤1号〜4号
赤は1mAで3k弱10mAで470オーム、
緑1号〜5号
緑は1mAで10k強、10mAで1k強

市販のフォトカプラRの逆数と電流のグラフ
緑のほうが高抵抗側にシフトしているが、大体カーブは一緒な感じ。
実装時を考えるとコンデンサはなるべく小さくしたいので、同じ周波数を得るのなら、抵抗値は高めが良いと思う。 一方、測定した印象として、ある程度抵抗値が下がらないと(僕が入手した、CdSセルでは50kぐらい)抵抗値を読むテスターの数字がぱらぱらと変動して安定していないように思う。
今回は使わないが、市販のフォトカプラの特性は以下の通り。 小さな電流のときの誤差がでかいぞ、きっと、という数字だが、市販のフォトカプラもそれなりにばらつきがありそうだ。スピードとかで遜色なければ、自作フォトカプラの選別ってのは、それなりに意味ありかもしれない。

今回の計測の生データは以下のとおり

青1号〜6号の詳細はこちら

スピード

  • 緑LED HomeMade
  • 赤LED HomeMade
  • VTL5C2 LFOの出力をV-Iコンバーターに突っ込み、CdSセルと4.7kで電源を分圧したものと、トリガーをオシロスコープでチェックしてみた。
    下のトリガーの電圧は、適当だが、上にみえるADSRのようなカーブが、CdSセルを通って出て来た電圧。実際は、LFOでは周波数が低過ぎオシロで観測できなかったので、VCOの出力を突っ込んでる、PWを細めにセットしたのはこっちのほうがキャラクタがよく見えると思ったから。角の丸くなった矩形波が見える事を期待したのだけど、リリースがのろ過ぎて、電圧が下がり切る前にアタックが掛かってるので6Vから10V強の電圧が出て来てる。 パルス幅を広くすると、カーブは全体にうえにシフトする。ようするに、この写真のタイミングでは、アタックし切れて無い。この写真から読めるのは、CdSセルってーやつは、アタックのスピードに比べてリリースがめちゃのろいという程度かもしれない。
    ひょっとしたら、赤い光の方が緑よりアタックが早いのかも知れない。(色では無く、明るさの問題化も知れない)

    温度特性



    測定が終わったらストローで吸い出すと濡らさずに済む。
    ここまで見てくると、とりあえず、温度特性も知っておきたくなるのがアマチュア実験だましーといえる。
    温度計、温度補償抵抗、金属皮膜抵抗、自作フォトカプラをビニール袋に詰めて、コップにいれて、平温(26.3℃)、氷水に付けたもの、ちょっとぬるめのコーヒーの温度の3点で測定してみた。
    写真の白い塊が、エポキシ系接着剤で固めた温度センサー。秋月の温度計キットに接続されている。黒い奴が手製フォトカプラ。
    温度計はちゃんと校正できて無い(一応やってあるつもりではあるけど)ので、相対的な変化としてみる。グラフ化して、1直線になれば、実用温度内ではリニアに変化してると思ってよさそうだ。


    各種抵抗の温度特性
    グラフをみると、さすが金属皮膜抵抗、温度変化にはめちゃ強い。殆ど変わって無いように見える。
    実は、LEDの発光にも、若干の発熱があるはずで、しかも、熱収縮チューブで密封状態なので熱は どんどん溜る一方のはずなので温度ドリフトは結構ひどいはずで、これはあくまで、目安の計測。フォトカプラのドライブ回路に、温度補償をくみこんでも、ここでずれてしまうので、温度補償を丸ごと諦める口実作りの計測といえる。温度保障抵抗とは逆の変化を見せている。 たとえば、さまざまな抵抗をを調べて、変化が逆になっているモノを組合わせて使うと、温度の変化をキャンセルできるかもしれない。

    1℃当たりの抵抗の変化量は各々以下の通り
    HomeMadePhotoCouplermetal Film ResisterTC resister(3300ppm)
    -1.60 ohm0.133 ohm3.18 ohm


  • 続く

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