半導体メーカーですでに回路図に指定されている型番の半導体を作って無かったり、アマチュアが比較的簡単に入手できるような経路では流れていなかったりということだ。手に入らないのならともかく、この他、良く見る記述に「マッチングの取れたトランジスタを使う」というものがある。
これはトランジスタが持つ様々なキャラクタの揃った物を使うと言う事なのだが、こと、アナログシンセを構成するトランジスタに要求されるのは、Veb というキャラクターのようだ。要するにエミッタ、ベース間の電圧の事なのだが、これはどうやって測ればいいのかが本ページの主旨である。
回路に付いて
オペアンプで、ローインピーダンス化した電圧をトランジスタを通して電流に変換、これを検査するトランジスタに加える。NPN用の物と、PNP用の物は逆さになる。
これは、某有名メーカーの某有名シンセのメンテナンスマニュアルの抜粋で、自分の勉強用に書き直したもの。シンセの勉強をしてみようと、海外も含めて様々なサイトをアクセスした際に偶然に見つけたもので、そのうち理解できたら試してみようと保存しておいた物の、引用先を正確に紹介できなくなってしまった。メーカーのメンテナンスマニュアルなんて、公開されるタイプのドキュメントでは無いような気もするし、海賊物かも知れない。
シンセの勉強をするにはさけて通れない部分でもあるので、オリジナルをそのままでは無く、日本で比較的手に入れやすい部品に書き換えた別物に書き直した。
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回路図にはオペアンプに、082を指定したが実際にはどんなオペアンプ でもいけるはず。この基板には、僕のところで使い道が無いまま10年 間眠っていた、1458を使ってみた。レトロな雰囲気、たまらない。 |
写真の右側の白い箱はテスト電源を接続するソケット。また、でかめのスライドスイッチの取り付け 穴にはネジが切ってあるので、このスイッチの首が出る四角い穴さえあけてしまえば基板丸ごと固定する事ができる。電源はケーブルがしっぽのようにケースの外に出るようにするつもりだが、もう、このままになってしまいそうだ。
実装について
特に注意点は無いが、使用される抵抗は全て金属皮膜抵抗を使って温度の変化により全体が変化がちいさくなるようにする。
被試験トランジスタの接続には、ICソケットを使ったり、MINI DINのジャックを流用したり様々な実装方法が考えられるが、僕は、東京秋葉原、千石電商で購入しテーピング型というトランジスタをチェックしたかったので、ICテストクリップというものを使った。
僕の組み立てた基板では、ICテストクリップの赤がエミッタ、白がコレクタ、黒がベース。これは、NPN、PNPかわらないが、
デジタルテスターのテスト棒をくわえる赤と黒のワニ口クリップは。NPNの場合、黒が+へ、赤がマイナス、PNPのばあいはこれが逆になる。実際にはDVMがバイポーラなので、こちらは気にしなくていい。
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接続を間違うとトランジスタは壊れる。ええ、お約束じゃないけど僕も1 つ壊しました。(しくしく) |
測定について
Veb は、数百ミリボルトなので、小数点以下3桁以上はかれるデジタルテスタを使う。数ボルトでてたらトランジスタのB、E、Cの接続をミスっており、そのトランジスタはすでに死んでいる。アタタタタタ
また、Veb の値はトランジスタの温度によって劇的に変わる。
測定する時にはトランジスタに触ってはいけない。ピンセットを使ったり、手袋を使って、被試験トランジスタに直接触らないようにする。指先から伝わる体温でトランジスタが暖まってしまうのだ。
今回は温度による変化幅のチェックはチェックしなかったが、接続し電圧を測っている時にトランジスタの頭に指をのせるだけで数ミリボルト下がる。ここではこの数ミリボルトの違いをチェックするつもりなので、指の体温であたためてしまうとミスる。温度があがると電圧は下がる方向に変化し、この傾向はNPN、PNPに共通だ。本当かどうかともかく、テストしている時に吹き掛かる鼻息もヤバいような気がする。
冗談はともかく、この事から、Vebの数値は(素人にとっては)絶対値としては使えないと言う事だ。気温(というか、トランジスタの温度)が変わる事でどんどん変動する。つまり、電気が流れてトランジスタが熱をもてば、どんどん変わってしまうはずだ。というわけで、複数のトランジスタを同時期に一気にチェックして得られる数値はその日、その場だけの相対値として捕らえるべきだ。追加で手に入れたトランジスタをチェックする場合には、以前チェックしたトランジスタも再検査しないとだめだ。なにしろ、触っただけで数値が変わってしまうのだ。以前チェックした時と同じ気温である事を確かめるのは難しそうだ。測り直す方が簡単。
ただ、これにより、総体誤差が少ない固体を選びだす事ができるわけで、これが、「マッチングの取れたトランジスタ」と言う事になる。
実際の数値
実験レポートとしては、綺麗に数値をならべて提示するべきなのだろうけど、相対的な物だということがわかり、さらに測定時の気温をメモするのを忘れた事も手伝い、数字の表示には意味が無さそうだ。
ただ、僕の測定ではそれぞれ、600mV前後だった。
都市伝説的に「同時期に同じ店で買ったトランジスタなら大体だいじょぶ」と聞くが、果たして、僕が購入したトランジスタ、NPNがたについてはこの都市伝説があてはまった。1本10円で20本(実際は別の用途に2本使い、1本は測定ミスって壊したので17本)まとめて購入した2SC1815(NPN型)は、604mv、2本、602mV、1本、596mvが6本、597mVが1本、598mVが8本、という結果となり、
http://www.asahi-net.or.jp/~WZ4K-TNK/diy/laddervcf.html
に紹介されている記述によれば、2mV以内の誤差なら、VCFを作るためのトランジスタとしては合格、ということらしい。
一方、同時期に入手した2SA1015(PNP型)は、584mVを下限とし、上は590mvまで、ペアをくめそうな数値は一応揃ったが、印象としては結構ばらついたように思う。
http://www.asahi-net.or.jp/~WZ4K-TNK/kairo/vco.html
に紹介されている「 NPN-PNP matched TR 」によるアンチログアンプをくむ場合、PNPと、NPNのペアをくまなければならないが、この時、NPNは比較的ばらつきが小さいようなので、PNPのトランジスタを店を変えたりしながらいくつかバラつきそうな物を購入すると数字がよりばらけて、マッチするトランジスタを得られる可能性をあげられるんじゃ無いかと思う。